子供達に、日本の武道を学んで欲しい理由は、強く優しい心と体を養って欲しいからです。隣人を我が身の如く互いに純粋に愛し慈しんで欲しいからです。
互いに傷つけ侵害し合うことが当たり前の時代になり、お互いを思い遣りおもんぱかり真心をもっていたわろうとしない人々が増えた世の中、世界的にも、日本でも、子供を虐待したり、学校や職場や組織の中でいじめがあったり、地域社会でも、閉じこもりや自殺の問題があったり、自傷他害に至る事件は、毎日のように各地で起きています。さらには、人災や自然災害なども、頻発して、生きるという事が、非常に厳しい時勢になってきています。
昨今のように、人々が傷つけ侵害しまくる世相は、未だ無かったのではないかと思えます。
過去には二度の世界大戦を巻き起こしている人類ですが、それでもなお、未だに、人々が傷つけ侵害して、互いに破壊する行為をまるで喜んでいるようにも思えます。
ある精神科医は、今の人々の中には、愛着障害を抱えて苦しんでいて、死にたいとか、自分の存在そのものを、慈しみ愛して受け止める事が出来ない人々が増えているといいます。
それは、その愛着障害を抱えている大人たちは、その親や養育者からの適切な愛情を十二分に受けられなかったからだという専門的な判断に至っています。
いわゆる愛着障害に対して、どのようにケアしたらいいかは、ある程度、解答があります。
一番大切な人にさえ自分を大切にしてもらえなかった人がどうやって自分を大切に思えるのか。
幼い時に、子供の時に、そんな思いを味わったら、その思いをぬぐい去ることは容易ではないのです。
岡田尊司先生は、あなたが自己肯定感を持てないのも、無理は無い、それは当然なことで、あなたが悪いのでは無い、そんな中で、あなたは、よく生きて来た、自分を肯定できているほうだよと、愛着障害を抱えて苦しんでいる人にはそう声かけてしたいとコメントしています。
実際に、自分は大切にされていない、愛されていないという思いを強烈に抱えて苦しみに生きている人は、
自分は十二分に愛されている存在してる価値が十分にある貴重で大切で大事な存在なんだと、自分自身の存在を充分に純粋に愛し慈しみ滋養的に世話して、今日一日今日一日とコツコツ自分の生活を営んでいく事が、肝要です。
実践ですから、プラクティスといいます。
これは、セルフエスティームといいます。
実際の訳は、
自己尊重と訳します。
自分自身の存在は、世界で唯一無二だからです。
そして、存在そのものが大事で大切で貴重な存在なのです、
その自己の存在の価値に気づくことは、大変に重要なのです。
特に幼少期に酷く人心を傷つけられている方は、敵味方とか、自罰他罰とか、白黒思考とか、100か0かなど、極端な思考パターンをもってしまいがちです。
どうせ自分なんか本当は存在しない方がいいんだ、誰からも愛されていないんだと、思い込む癖が染み付いてしまっているからです。
自分の歪んだ思考パターンをよく思い回らして、いい加減に生きる事も回復の方法の一つです、
完璧主義に何でも、判断しない事です。
不完全な自分をゆるす事も必要です。
他者を蔑んだり、見下したり、または侮辱されたとか、辱められ傷つけられたという思いが根強くあるならば、
自分をゆるすことや、自分の傷つき悲しみや苦しみを自分で受け止め、自分を大切に大事に世話してあげる事から、真の回復は、はじまります。
世の中は、不毛なゲームに溢れていますから、経済的な合理主義や功利的個人主義がメインストリームで、実直に、人心を大切に大事に滋養的に世話をする事柄を放棄し排除しています。
それではいつまでも人は人を傷つけ侵害し続けるしか無く、傷つき人生に絶望しか生まれません。
日本の本来の武道の核心には、仁慈の心がありますから、日本の武道を学ぶとい事は、今の人々が傷つけ侵害し合う関係を是正して、改善して行く為の一つの有効な道具に成ると確信しています。
ソーシャルワーカー奥田力
(社会福祉士、精神保健福祉士)
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